階級社会とお屋敷もの。
私は実はお屋敷物好きです。私が勝手にお屋敷ものと呼んでいるんですが、
「日の名残り」
とか
のような、お屋敷が舞台で、しかも召使いもきちんと描かれているもののことです。
ということで、漫画の「エマ」(1巻から5巻、2005年7月9日現在)を買いました。どうもアニメ化もされているらしいですね。
メイド喫茶がはやっているのと、なにか関連はあるんでしょうか。その辺の因果関係は分かりませんが。
19世紀末の英国の様子(文化)が丁寧に書かれていてとても好感の持てる漫画です。物語としては結構単純で、メイドのエマと上層中流階級のぼっちゃんとの恋愛物語ですが、結婚は同じ階級同士でというのが、当たり前で、それを犯すことはタブーだった時代の話ということで、障害がいっぱいという話です。
作者の方はさぞいろんな資料を集めて、絵にしているんだろうなと感心しています。が、1巻辺りは少し不満もあり。訓練されたエマのようなメイドがぼっちゃんに話しかけると云うことは無いと思う。それにクラブに集まるような紳士の皆さんがエマについて話したりするのも、ちょっとどうかと思う。巻が進むに連れて話に引き込まれているためか、作者の調べがさらに進んだのか、疑問が少なくなっていきますが。
今私の一番の疑問はアルとダグの関係。ダグ亡き後ガヴァネスとして生計を立ててゆくケリーは中流階級以上のはずで、アルは明らかに労働者階級。一体どういう関係なんだろう?
ついでに副読本エマ ヴィクトリアンガイドも買いました。
これが、以外としっかりしていていい本でした。
召使い達の区分、役割、などがきっちり書かれていて、分かりやすかったです。
基本的な知識としては持っていたのですが、人に説明できるほどきっちりした知識ではなかったので、あのように整理されると、うれしい。
階級と云うことで、この本も買いました。
不機嫌なメアリー・ポピンズ?イギリス小説と映画から読む「階級」
扱われている全部の映画や小説を読んだわけではないのですが、「ブリジット・ジョーンズの日記」や「エマ」(映画の)など一連のオースティン映画などの単元を読む限り、英国で教育を受け英国人の階級意識というのを理解している人ならではの視点で描かれていておもしろい。ただ、扱う作品が多すぎるというか、一つ一つの作品についての細かい検証が少なくて、表面的な分析に終わっている所もある。新書という形態で誰にでも読める楽しい読み物として書かれたのだから仕方がないかと思う反面、もっと深くつっこんで書いて欲しかったと思った。