メアリー・シェリーっておもしろいです。

今、勉強会でメアリー・シェリーの「The Last Man」The Last Man (Oxford World's Classics)というのを読んでいます。これがまさに題名の通り、疫病のため人類が死んでいき、最後一人残るという話なのですが、おもしろい要素が満載。

といっても、普通に読んでいるとあんまりおもしろくないのかもしれませんが、メアリー・シェリーの周りの人々との関連を考えるととてもおもしろいんです。文学研究でも、そういう自伝的要素を全く排除して読む読み方と、自伝的要素を加味して読む読み方など、読み方はそれぞれたくさんあります。あまり伝記的事実ばかりに気を取られると、小説世界の中でのプロットや複線、細かい描写を見逃してしまいがちで、そういう読みはあまり歓迎されませんが、研究とか云うこと抜きで楽しみとして読んでいる時は、どれだけでもミーハーな読みが出来るわけです。

私の場合メアリー・シェリーは研究対象としてみていないので、ただ、楽しんで読んでいます。

何がおもしろいって、登場人物が彼女の周りの人たちにとても似ている点です。エイドリアンという元英国国王の息子(王制を国王自ら廃止したので元がつく)は彼女の夫であった詩人のパーシー・シェリーに。レイモンドというギリシア独立の英雄は友人のバイロン卿にそっくりです。

エイドリアンは理想主義的な考えを持つ、恋に破れて体もこわしてしまうような繊細な人物として、描かれ、レイモンドは世間を少し斜めから見る現実的な皮肉屋、でも女性に大もてのハンサム、という感じです。

そこにハーレクインロマンスのようなというか、身分違いの恋だの、恋の逃避行だの、友人の好きな女性と妻を捨てて駆け落ちだの、なんかぷっと吹き出してしまうような要素満載なんです。

そしてさらにおもしろいことには、当時の文学からの引用がところどころにちりばめてあるんです。例えば、ワーズワースの詩やバイロンの詩がシェリーの詩まで引用されています。どこかどういう風に未来小説なんだ!!というぐらい文明は進んでおらず、彼女の生きていた時代そのままの雰囲気です。

実はまだ、半分しか読んでいませんが、続きが楽しみです。