「プライドと偏見」

前回に引き続き、「プライドと偏見」の感想。

プライドと偏見


原作やBBC版に比べて階級差を意識させづらい作りになっている。ここでの階級差とは
Upper
ドゥ・バーグ夫人
Upper-middle
上;ダーシー
下:ベネット家
Middle
ベネット夫人の弟夫妻

という構図のことだ。

同じアッパーミドルの中でも上流階級と親戚関係にあり、歴史を誇り、お金持ちであるダーシーは、お金が無く、商人の家から妻をもらったベネット家とは隔たりがある。ただ、ダーシーの家系は多少劣った妻をもらったぐらいでは揺るがないぐらい、名家でもあるわけだ。

階層意識の強いドゥ・バーグ夫人は、自分の階層を常に意識し、他の人にも意識させて生きてきており、その甥であるダーシーにふさわしい妻は自分の娘であるという考えを持つ。

それに対して、ダーシーは元々の出身より立ち居振る舞いが問題であり、最初ベネット家を敬遠したのは、ひとえにその父、母、妹たちのマナーのなさによる。

今回の「プライドと偏見」ではこの階級差が見えづらい。その辺はさらっと流し、あくまで二人の誤解と偏見を克服し愛をはぐくむ物語として描かれる。
原作ではエリザベスとダーシーの噂を聞いたドゥ・バーグ夫人が、エリザベスに婚約をしているのかどうかを問いただしに来る場面(これは物語のクライマックスと言える場面だ。なぜならここでのエリザベスの言葉がダーシーに伝わり二人の恋は成就するからだ)で、エリザベスのことを身分が劣ると蔑む夫人に対し、エリザベスは

He is a gentleman; I am a gentleman's daughter; so far we are equal.
彼は紳士で、私は紳士の娘ですから対等です。

と主張するのに対し、夫人は

``True. You are a gentleman's daughter. But who was your mother? Who are your uncles and aunts?
確かに。貴方は紳士の娘だわ。でも貴方の母親はどうだったの?あなたの叔父と叔母は?

と、弁理士の娘である母と、商人として身を立ている弟夫妻を彼らの出身階級だけで、判断するのだ。

このセリフは、「プライドと偏見」では切られている。