ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ
この映画は英国のチェリスト ジャクリーヌ・デュプレの伝記的作品で、なかなかショッキングな出来事を描写しているために、賛否両論があるものだ。これは彼女の姉ヒラリーと弟ピアースが共著で書いた本を元に作られている。これがその原作。
Hilary and Jackie
原作では弟の記述も多いが、映画では姉妹二人に焦点を当て、子供の頃は姉ヒラリーの方が音楽的才能があるとされていたのが、ある時から妹ジャッキーが才能を開花させ、その後音楽を趣味として普通の田舎暮らしを選んだ姉と、音楽を仕事とし世界中を飛び回る妹、のすれ違いや心の結びつきを描いている。
今度の4月からの授業に使おうかと思って現在スクリプトを作っている。その中で印象的な部分がいくつかあるがその中から少し引用。
ピアニストで指揮者のダニエル・バレンボイムと結婚したジャッキーは夫婦で世界中を飛び回っている。その彼女が夫に問いかける所。
Jackie "Danny, would you still love me, if I couldn't play."
Danny "What?"
J "I said, would you still love me if I couldn't play?"
D "You wouldn't be you, if you couldn't play."
J "No, I want to know."
D "O body swayed to music,
O, brightening glance,
How can we know the dancer from the dance?"
才能ある人にとって、恋人(or配偶者)が自分の才能に惚れたのか、人間性に惚れたのかはとても重要な問題だろう。この「もし、私が演奏できなくなっても私を愛してくれる?」という問いは、実際に彼女がこの後病気のため演奏することが出来なくなるが故に余計重く悲しく響く。
ダニーがここで引用するのはW.B.Yeatsの詩Among the School Childrenからの有名な一節。
踊っている踊り子から踊りを切り離す事はできない。しかし、後のジャッキーはmultiple sclerosis(多発性硬化症)で音楽から切り離されてしまうのだ